食欲の秋ですね。端的に言いましょう。太りました。
……太りました。そりゃもう、結構、お腹が、ゆるっと、ぽこっと。そんな感じです。
何故って、秋は美味しいものがたくさんあるからです。
そして、皆さんご存知の通り、オレの愛するイケメンダーリンは、業界きってのお料理上手。新鮮な食材が手に入ったら、春や夏の比じゃなくオレを誘います。オレも、美味しいごはんとお酒とユキがついてくるなんて最高すぎる、とほいほい誘いに乗ります。太ります。
そりゃね。太るよ。もうどんだけ食べたか分かんないよ。
なーんでユキはお料理上手になっちゃったかな。いや、一緒に住んでたオレがちっとも出来なかったからなんだけど。ってことはオレのせいかな。オレのおかげとも言える?
とか、考えてることが現実逃避っぽい。
だって来月には、オレが主演のドラマがクランクインする予定で、しかも水泳部の話だから、めっちゃ体を見せる。上半身なんていつも裸みたいな。だから結構ちゃんと、トレーニングもしてたんだよ? 筋肉も順調についていたのに。その筋肉の上に贅肉のせてどうすんだ。
それにしたってユキの料理はちょっと、麻薬っぽさがある。麻薬のことは知らないけど、知る予定もないけど、しばらく食べれないと「あの味!」って、お腹が求めてしまうのだ。基本的にヘルシー志向なのに、オレにだけはガツンと味付けされたランプ肉とか出してくれるし。お肉やお魚〝食べてます〟って感じの料理、わざわざ出してくれるところに愛を感じる。感じまくる。だからオレも、それに応えるぞ! と、結果わんぱく食いをしてしまうのだ。
いや、「のだ」じゃないだろ。ごはん、おかわりしてる場合でもないだろ。何してんのオレ!
ダンベル持ち上げつつユキのごはんのこと考えてるこの時間、一番どうしようもない。パーソナルトレーナー付きのジムで、オレは今、そのトレーナーに呆れられっぱなしだ。
今日誘いがきたら断ろう。絶対に断ろう。鋼の意志で。
――って、思ったのに、オレはユキの家の食卓でパクパクごはんを口に運んでいる。だってさ、今日の料理はイベリコ豚だって言うんだもん。断る方がおかしいよ。
「なんでこんなにオレを太らせるの……」
「うーん。美味しく食べちゃいたいから?」
そんなに綺麗に笑いながら、質問を質問で返さないでくれますか。しかもかなりときめいちゃって、オレはユキって麻薬にやられてる。なんてね!