季節は春。そう、花粉症の春だ。
なんとオレたちRe:valeは揃って花粉に強く、その甲斐あってか毎年鼻炎薬のCMを撮らせていただいている。
そして「今年もよろしくお願いします」そう現場スタッフに頭を下げるのは、この時期だけオレたちの仕事だ。
というのも、マネージャーであるおかりんだけは、重度の花粉症を抱えているから。そりゃもう、花粉症といったらこうでしょう! というお手本みたいに、目が真っ赤に腫れて、鼻はずびずび、喉に花粉がひっついて咳も止まらず、病院処方の超強力なお薬を飲んでいるせいで頭も回らない。らしい。どう考えても家で養生するべきなんだけど、悲しいかなサラリーマンはそうもいかないらしく。
だから事情を説明して、うちのおかりん、鼻声すぎて何言ってるかほとんど分からないから、オレたちが代理なの。と言って回っている。おかりんは隣で、申し訳なさそうに縮こまっていて、ちょっと可愛い。オレたちからすれば、普段めちゃくちゃお世話になっているおかりんに恩返し出来ることが嬉しかったりもする。早く治って欲しいけど!
さて、次は番組のプロデューサーに挨拶、というところで、ユキの長い長い脚がピタリと止まった。オレとおかりんは三歩だけ前に出て、同じタイミングで振り返る。
「ユキ? どうしたの?」
「……好きじゃないプロデューサーの気配がする」
「あ、ぞぼいえばゔぎざんのごどおぎにいじでじだよね」
「えっ、オキニなの!? ラッキーじゃん!」
と言ったらユキの顔がちょっと不機嫌になった。ユキは本当にこういう接待が向いていないし、相当嫌なことされたんだろうなと予想がつく。体触られたりとか?
「じゃ、今度はオレがお気に入りになってくるから! ユキはここで待ってていいよ!」
「それはおかしいでしょ。行くよ」
「えー、無理しないでいいのに」
「だからってモモに無理させていいことにならないだろ」
止まっていた脚が動き始めて、オレの隣に肩が並ぶ。
「やだダーリン、超、イケメン……!」
「知ってる。ほら、行くよ」
「うん! じゃあさ、ユキがとんでもないこと口走りそうになったら、おかりんに特大のくしゃみしてもらおうよ!」
「流石モモ。名案だね」
「…………ゔぇ!?」
うそうそ。安心して。オレたちは自分も互いも守れる、トップアイドルRe:valeですから。