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「きったな……」
「ユキ。オブラート、家に置いてきてるよ。今すぐ取ってきて!」
「き……ったな…………」
「二回も!? しかも噛みしめるように!? ……すみません、ごめんなさい。だって来ると思ってなかったんだもん! ユキが来るって分かってたらそりゃもうピッカピカに」
「モモ、まずは洗濯物を拾って、まとめて、カゴに入れて」
「……はい……」
 モモって本当に掃除が出来ない。もはや汚い部屋で生活するのが好きなのか? って思うぐらいには、出来ない。
 和泉兄弟を泊めていた時期は、兄弟が必死になって掃除していたんだろう。二人が居なくなってからも、しばらくはマシだったことを記憶しているし、モモも少しは気を使っていたようだし。でも一ヶ月もするともうダメらしく、途端に樹海と化す。モモの樹海。取り込まれたら最後、逃げられなさそうで恐ろしいな。
「ユキ、今なんか悪いこと考えてない?」
「ここまでひどい有様だと、何かの名所になりそうだなと思ってたよ」
「ひどい! オレの部屋を樹海扱いするなんて!!」
「察しが良くて助かるよ」
「うそ、本当に考えてたの……? モモちゃん傷つきましたぞ……」
 口じゃなく手を動かす、と視線で伝えると、見えない耳がへなへなと垂れるのが見えた。「はい……」とことさら元気なく言うので、笑いそうになる。
 珍しくオフが被った日、おかりん情報ではモモは今日一日なんの予定もいれずにダラダラすると聞いていた。
 僕が「遊びに行ってもいいか」と何度お願いをしても断った上で、その狼藉。間違いなく、部屋の出来が過去最低になっているのだと理解した。
 昔よりずっとずっと心を開いてくれている、と、思ったのは大間違いだったようだ。ある程度までは分かり合ってる、なんていうのも。
 モモは、未だにちっとも理解しない。僕の愛を。せっかく交換した合鍵を、僕ばかりが使っている理由を。
 好きでもなければ、アポ無しで部屋に乗り込んで、代わりに掃除をするなんてこと、あり得ないだろ。
 でもまあ、ちゃんと分かるまでは、汚して汚して汚し尽くせばいい。それぐらいは、付き合う覚悟もしている。
 その度に、全部拾い上げ、洗濯してあげればいい話だ。